体位変換は、介護の基本です。なぜなら、褥瘡、つまり床ずれを防ぐためです。介護施設に入居中の高齢者は自分で思うように動くことが出来ず、一定の姿勢で長時間過ごしてしまうことがあります。たとえば寝たきりの人は、自分で体位変換をすることが出来ないことがあります。また車いすに移乗させたら座ることはできますが、一度座ったらそのままの姿勢でお尻や踵を動かすことが出来ない場合もあるのです。
そのように一定の姿勢で長時間過ごしてしまうことにより、褥瘡が発生してしまうことがあるのです。しかし、すぐに褥瘡が出来るわけではありません。基本的には、2時間おきに体位変換をすることが褥瘡を防ぐために必要だといわれます。
介護施設には、たくさんの要介護者がいます。介護職はナースコールの対応やオムツ交換や移乗などさまざまな仕事があります。その中で定期的に体位変換することはとても大変です。しかし、介護のスペシャリストとしては予防に努めることがとても大切です。褥瘡というのは、低栄養でオムツ使用などの湿潤環境のある高齢者に発生しやすいので、発生要因を見極め、皮膚の清潔を保持することも大切です。
また日ごろから要介護者の皮膚状況を観察し、清潔や保湿を意識して皮膚のバリア機能を保つことも大切です。以上のように、褥瘡は決して体位変換をすることで、すべてが予防できるわけではありません。総合的に要介護者を観察し、介助することが介護職に求められるのです。